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2017年1月号

LC-MS/MSの測定データを構成するLC保持時間(retention time:RT)は重要な情報を保持しています。RTがMascotの中でどのように取り扱われるかをご説明します。

Mascotを利用した研究論文を紹介しています。取り上げてほしい話題や研究論文かありましたらぜひご紹介ください。また、 Mascot ニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

今月の小技は、Mascot 2.6の検索結果表示のデフォルト設定についてご説明します。

Mascotニューズレターのバックナンバーは このページ からご覧いただけます。日本語版は「Japanese」リンクをクリックしてください。

 

January 2017

保持時間:RT
Mascot を利用した論文の紹介
今月の小技
 

保持時間:RT

保持時間(retention time:RT)はMascotのスコア計算には利用されませんが、検索結果を使って最適なスコアを再計算する「Percolator」で活用されている他、多くの定量解析処理の中でも利用されています。MascotはRAWデータではなくピークリストを処理しますので、次のような仕組みを使ってピークリストや検索結果、さらには検索結果の出力ファイルにRTを記録しています

MGFファイルでは「RTINSECONDS」行を定義し、そこにRTを明示しますので、Mascotはその行を見に行きます。mzMLファイルの場合は、RTに関連する用語が管理語彙(controlled vocabulary:CV)として定義されていますので、MascotはそのCV項を見に行きます。また、検索結果ファイルにはRT情報が書き込まれますので、Mascot Parserでそれを抽出し、Peptide Viewページや検索結果出力ファイルに反映しています。

たとえば分画由来の複数のRAWファイル間で比較解析したいときなどは、RAWファイルとRTを紐付けする必要がありますが、Mascot DisitllerではそれぞれのRAWファイルに背番号を付けて(すなわちindex化して)「RTSECOND[0]」のように「indexed RT」として処理し、MGFファイルやmzMLファイルに反映させています。

ちなみに、PercolatorはTarget-Decoy検索結果に含まれる様々な情報を使ってスコアを再計算し、感度(Sensitivity:Positive補足率:Positive を正しくPositive と判定)を改善しますが、RT情報は重要な計算パラメータになります。

MascotにおけるRT情報の取り扱いに関しては ブログ にまとめましたのでご覧ください。

MGF parameters

Mascotを利用した論文の紹介

Mascotニューズレターで取り上げてほしい話題や研究論文がありましたらぜひご紹介ください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

 

PCoM-DB Update: A Protein Co-Migration Database for Photosynthetic Organisms

Atsushi Takabayashi, Saeka Takabayashi, Kaori Takahashi, Mai Watanabe, Hiroko Uchida, Akio Murakami, Tomomichi Fujita, Masahiko Ikeuchi and Ayumi Tanaka

Plant Cell Physiol. (2016) online: December 22, 2016

To facilitate the understating of protein complexes in cellular processes, the authors have developed a searchable database of protein co-migration for photosynthetic organisms.

They used blue-native PAGE for separation, cut the gel strips into ~60 pieces, subjected them to in-gel digestion, and analyzed by LC-MS/MS with protein identification by Mascot. Protein abundances were estimated by spectral counting, using the exponentially modified protein abundance index (emPAI), as implemented in Mascot.

The Protein Co-Migration Database (PCoM-DB) provides prediction tools for protein complexes. PCoM-DB displays migration profiles for any given protein of interest, and allows users to compare them with migration profiles of other proteins, showing the oligomeric states of proteins and, thus, identifying potential interaction partners.

This paper covers the addition of data to the PCoM-DB from bryophytes, green algae, cyanobacteria, as well as Arabidopsis organelles, including intact chloroplasts, chloroplast stroma, the chloroplast envelope, and mitochondria.

Thumbnail from featured publication

今月の小技

Mascot 2.5までは、マッチした全てのペプチドを表示するように初期設定されていました。この表示の中には偶然にマッチした意味のないペプチドも含まれていますが、表示されているペプチドがすべて有意だと誤解を招くことも多々ありました。意味のないペプチドを表示させないようにするためには、閾値としての期待値やスコアを入力して [Filter]ボタンを押すという「ひと手間」が必要でした。あるいはその閾値を設定ファイル「mascot.dat」に書き込む必要がありました。

Mascot 2.6では、検索結果をより見やすくするために思い切って「有意なペプチドだけを表示する」ように変更し、「Display non-significant matches」チェックボックスを追加しました。これをチェックするとMascot 2.5までの初期設定が反映されます。

なお、これまでの設定がよいというお客様のために「DisplayNonSignificantMatches」設定を追加しました。[Configuration Editor]リンク→[Configuration Options]リンクで表示される「Configuration Editor: Edit Mascot Options」ページでの設定操作となり、次の3通りの設定を選択することができます。

  • 0 = 「DisplayNonSignificantMatches」がチェックされていない状態(デフォルト設定)
  • 1 = 「DisplayNonSignificantMatches」がチェックされている状態
  • 2 = 「Ions score or expect cut-off」入力蘭表示

「2」を選択した場合は「IgnoreIonsScoreBelow」設定を使うことができ、これを設定しない場合は無視されます。Mascot 2.5までの初期設定は「DisplayNonSignificantMatches=2」、「IgnoreIonsScoreBelow=0.0」です。

Display non-significant matches

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