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2017年11月号

簡単な操作でコンタミ由来の質量スペクトルにマッチするカスタムなコンタミ用のスペクトルライブラリを作成することができます。配列DBと組み合わせることにより、検索空間を広げることなく実験サンプルに含まれる興味対象タンパク質の検索に専念することができます。

Mascotを利用した研究論文を紹介しています。取り上げてほしい話題や研究論文かありましたらぜひご紹介ください。また、 Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

今月の小技では、Error tolerant検索で使われる修飾のうち、同位体ラベルのようなグループを除く方法についてご説明いたします。

Mascotニューズレターのバックナンバーは このページ からご覧いただけます。日本語版は「Japanese」リンクをクリックしてください。

 

今月のトピックス

コンタミ用スペクトルライブラリ
Mascotを利用した論文の紹介
今月の小技
 

コンタミ用スペクトルライブラリ

コンタミ由来の質量スペクトルにマッチするコンタミ用スペクトルライブラリを利用することにより、検索空間を広げることなく実験サンプルに含まれる興味対象タンパク質の検索に専念することができます。特に、プロテオミクス実験に利用されているトリプシンは、リシン残基がメチル基やアセチル基で修飾されているため、それらを含む自己消化物ペプチド由来の質量スペクトルが偽陽性な同定ペプチドとなる可能性がありますので、トリプシン由来のカスタムなスペクトルライブラリを作成しておけば、検索結果の見透しがよくなります。

すべてのコンタミで構成された出来合いのスペクトルライブラリをダウンロードでればいいのですが、実際にはお客様毎に実験プロトコルや環境が異なりますので、お客様独自のスペクトルライブラリを作成するのがお薦めです。Mascot Server 2.6には簡単な操作で検索結果ファイルからスペクトルライブラリを作成するためのツールが実装されています。

検索結果ファイルからスペクトルライブラリを作成する方法は ブログ をご覧ください。作成済みのスペクトルライブラリに新たなスペクトルを追加することもできます。コンタミ用スペクトルライブラリと実験サンプルに対応する配列DBを組み合わせて検索(弊社ではDB統合検索と呼んでいます)してください。

library match

Mascotを利用した論文の紹介

Mascotニューズレターで取り上げてほしい話題や研究論文がありましたらぜひご紹介ください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

 

Extensive non-canonical phosphorylation in human cells revealed using strong-anion exchange-mediated phosphoproteomics

Gemma Hardman, Simon Perkins, Zheng Ruan, Natarajan Kannan, Philip Brownridge, Dominic P Byrne, Patrick A. Eyers, Andrew R. Jones and Claire E. Eyers

bioRxiv posted 13 October 2017, 202820

Protein phosphorylation is an essential PTM, and there are many well-established workflows to determine the localization of phosphorylation on peptides containing serine, threonine, and tyrosine residues. Based on evidence suggesting that histidine phosphorylation also plays a role in human biology, the authors set out to develop a method to find these sites of non-canonical phosphorylation.

The phosphoramidate bond in phosphohistidine is susceptible to hydrolysis under the traditional acidic conditions used for phosphopeptide analysis. To avoid this, they developed an enrichment strategy based on strong anion exchange chromatography, providing enrichment of acid-labile phosphopeptides at or near neutral pH.

They were able to extend this approach to other labile phosphosites and in a HeLa cell lysate identified ~300 pHis-containing peptides and 2740 peptides with sites of phosphorylation on Arg, Lys, Asp and Glu.

Thumbnail from featured publication

今月の小技

Error tolerant検索 では、検索条件としてUnimodファイル内の全ての修飾を使うように初期設定されています。しかしながら、仮に同位体ラベルのような修飾に有意にマッチしたとしても、それらは通常の実験サンプルには存在し得ない修飾ですので、そのような検索結果には意味がありません。

Error tolerant検索モードにおいて、最初の検索(first pass search:通常のMascot検索)で多数のタンパク質が同定された場合は、引き続き実行されるError tolerant検索(second pass search)に時間がかかります。一方、Unimodファイルは定期的に更新され、その都度新しい修飾が追加されていますので、さらに時間がかかるようになります。考慮する必要のない修飾はError tolerant検索の対象から外すのがお薦めです。Mascotの修飾エディタを使って、選択した修飾に対してError tolerant検索を実行するように設定することができます。たとえば、[Classfications:]から「N-linked glycosylation」、「O-linked glycosylation」、「Other glycosylation」を選択すると、400種類の糖鎖(ほとんどが500Da以上の大きさです)に絞り込むことができます。

設定方法は、Mascot Serverの「Welcome」トップページにアクセスし、[Configuration Editor]リンク、[Modifications]リンクの順にクリックすると修飾エディタのページになりますので、左側のパネルにある項目を選択またはチェックし、ページ左下にある[Page size]から「All」を選択し、[Title]の左にあるチェックボックスをチェックして全ての修飾項目を選択した状態にして、[Include in error tolerant]ボタンを押してください。

Configuration Editor

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