今月の小技:消化酵素の編集
Mascot Serverの消化酵素の定義は「Configuration Editor」を使って簡単に追加・編集することができます。Mascotのトップページ(Welcomeページ)を開き、[Configuration Editor]リンク → [Enzymes]リンクの順にクリックしてください。「Mascot Configuration: Enzymes」ページが開きます。
主要な消化酵素はすでに登録されていますので新規に追加登録するする必要性はないと思いますが、たとえば複数の酵素を利用した実験の場合は新たに「Enzyme mixture」を追加登録する必要があるかもしれません。例として、最初にCNBr(MetのC末端側で切断)で処理し、その後にAsp-N(AspのN末端側で切断)で処理するような実験条件では次の手順で作成した「CNBr+Asp-N」消化酵素を使うとうまく機能すると思います。
[Add new enzyme]ボタンをクリック → [Title]入力欄に「CNBr+Asp-N」を入力 → [Components]ブロックの#1行で[Sense]の「C-term」を選択し、[Cleave at]で「M」を入力 → [Add] ボタンを押して#2行を作成し、「N-term」を選択し、(DB配列中にBがある場合はDとNに対応するので安全を見て)「BD」を入力
ここでタンパク質消化の運命を分ける設定値が2つあります。「Independent」と「Semispecific」です。
[Independent]をチェックしない場合はCNBrとAsp-Nの切断特性が同時に適用されます。すなわち、MetのC末端とAspおよびAsnのN末端で切断されたペプチドが生成します。[Independant]をチェックした場合はCNBrとAsp-Nの切断特性が独立に適用されます。すなわち、MetのC末端で切断されて生成したペプチド#1と、AspおよびAsnのN末端で切断されて生成したペプチド#2を混合したイメージになります。[Test]ブロックで[Test Enzyme]ボタンを押すと切断状況をシミュレートできますのでお試しください(適当なアミノ酸配列を入力して試すこともできます)。
[Semispecific]をチェックすると、生成したペプチドに対してそのペプチドのC末端またはN末端を残すようにして任意に切断します(任意の位置で1回ハサミを入れて2つに分けるイメージになります)。作成した「CNBr+Asp-N」に対してデフォルトの配列で[Test Enzyme]ボタンを押してチェックしてみましょう。「[Independent]=チェック無し+[Semispecific]=チェック無し」では9個のペプチドが生成するのに対して、「[Independent]=チェック無し+[Semispecific] =チェック有り」では391個のペプチドが生成します。このように[Semispecific]を有効にするととたんに検索が重くなりますし、スコアの閾値がぐんと上がりますので、むやみに使わずに必要に応じてError Tolerant検索を併用すると効果的だと思います。
日本語の資料 を用意してありますのでご覧ください。
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