The unique photosynthetic apparatus of Pinaceae: analysis of photosynthetic complexes in Picea abies
Steffen Grebe, Andrea Trotta, Azfar A Bajwa, Marjaana Suorsa, Peter J Gollan, Stefan Jansson, Mikko Tikkanen, and Eva-Mari Aro
J. Exp. Botany, 70 3211–3225 (2019)
裸子植物であるマツは亜寒帯針葉樹林(その昔習った「タイガ」ですね)においては主要な光合成種ですが、光合成に関わるタンパク質の構成についてはこれまでよくわかっていませんでした。この研究論文では、NCBIとConGenIEからノルウェートウヒ(Picea abies)の光合成関連配列データを抽出してチラコイドタンパク質の配列データベースを整備し、モデル被子植物のシロイヌナズナやその他の陸上植物と比較・解析しています。
Picea abiesの光化学系I(PSI)および光化学系II(PSII)のコア複合体のサブユニット組成はシロイヌナズナのそれと類似しており、アセンブリ中間体PSI複合体によく似た小さなPSIサブ複合体が多数存在すると報告しています。
さらに、84種の陸上植物のゲノムおよびトランスクリプトームから利用可能なすべての集光複合体(LHC)ホモログを分類し、マツ科のLHCファミリーメンバーの進化的分布を解析した結果、Picea abiesおよび他のマツ科(GnetaceaeおよびWelwitschiaceae)はLHCB4を失い、LHCB8を保持していることから、陸上植物の中で独特のLHC組成を持っていると報告しています。
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