Middle-Down Proteomic Analyses with Ion Mobility Separations of Endogenous Isomeric Proteoforms
Pavel V. Shliaha, Vladimir Gorshkov, Sergey I. Kovalchuk, Veit Schwammle, Matthew A. Baird, Alexandre A. Shvartsburg, and Ole N. Jensen
Analytical Chemistry 92 2364-8 (2020)
この研究論文では、FAIMS(Field Asymmetric waveform Ion Mobility Spectrometry:イオンの移動度がその形や重さよりも印加電圧に依存する場合、その性質をフィルターとして機能させてイオン種を分離した後に質量分析する手法)とミドルダウンプロテオミクス(消化酵素としてGlu-Cを使用)を組み合わせて、マウス胚性幹細胞から抽出したヒストンH3のヒストンテールを解析した結果、526個(FAIMSを使わない解析に比べて2.5倍)のプロテオフォームを同定することができ、右図に示すようにシーケンスカバレッジも向上したと報告しています。
なお、測定は9通りのFAIMS補償電圧(80〜140V/cm、7.5V/cmステップ)毎に行い、各々150分の溶出時間を要したため、全体の分析時間はカラムの平衡化を含めて30時間となりましたが、使用したFAIMSデバイスはRMS>60,000およびETDをサポートする質量分析計に実装することができ、質量分析計のソフトウエアとは独立したドライバーソフトウエアで操作できると報告していることから、「LC/FAIMS/MS/MS/Mascot」システムの組み立ては導入コストも含めて難しくはないのかもしれません。
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