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「今月のブログ」では、HUPOのHuman Proteome Projectが最近アップデートした質量分析データ等の提出ガイドライン(HPP data interpretation guideline version 3.0)についてご説明します。

「今月の論文」では、N-プロパギルマレイミド(NPM)とクリック反応を利用した反応性システインの定量方法に関する論文を取り上げました。

「今月の小技」では、クロスリンクメソッドについてご説明いたします。

Mascotニューズレターの バックナンバーはこのページ からご覧いただけます。日本語版は「Japanese」リンクをクリックしてください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

 

今月のトピックス

HPPガイドライン3.0
反応性システインの定量
クロスリンクメソッド
 

Human Proteome Project 質量分析データ等の提出ガイドライン

HUPOのHuman Proteome Projectは質量分析データ等の提出ガイドラインを更新し、「HPP Data Interpretation Guidelines Version 3.0」としてリリースしました。主要なアップデートについてご紹介します。

  • すべての質量分析プロテオミクスデータを ProteomeXchange リポジトリに「Complete submission」として提出すること
     
  • データ解析に利用した関連ファイル(検索データベース、スペクトルライブラリ、トランジッションリストなど)を含めること
     
  • neXtProt の参照プロテオーム最新版を使用すること
     
  • FDRの計算内容はPSM、ペプチド、タンパク質各々について詳細に説明すること
     
  • FDRの値はPSM、ペプチド、タンパク質の各々について予想される偽陽性の総数も含めて報告すること
     
  • DDAデータに対して高い信頼度でマッチしたタンパク質であっても、ペプチドのタンパク質へのマッピング状況を確認し、他のタンパク質の可能性を検討すること
     

という訳で「検算」ができるようなデータを提出するという常識的な更新内容になっています。詳しくは ブログ をご覧ください。

HPP Guidelines

N-プロパギルマレイミドとクリック反応を利用した反応性システインの定量

Mascotニューズレターで取り上げてほしい話題や研究論文がありましたらぜひご紹介ください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

 

Maleimide-Based Chemical Proteomics for Quantitative Analysis of Cysteine Reactivity

Evan W. McConnell, Amanda L. Smythers, and Leslie M. Hicks

J. Am. Soc. Mass Spectrom. 2020, published online: June 23, 2020

この研究論文では、部位特異的に反応性が高いシステインを定量する方法(QTRP : Quantative Thiol-Reactivity Profiling)について報告しています。チオール類の反応性に関するヨードアセトアミド(IAM)とN-エチルマレイミド(NEM)の研究成果を踏まえ、市販のN-プロパギルマレイミド(NPM)を採用し、NPMとCuAAC(Cu-Catalyzed Azide Alkyne Cycloaddition : アジドとアルキンの環化付加反応 : クリック反応)が可能な試薬(ゲルの蛍光プロファイリングに対してはRhodamine-azido、ゲル及びMS解析に対してはDADPS-azide)を組み合わせることにより、ゲルベースの解析においては高感度な蛍光プロファイルイングが可能となり、またMSベースの解析においてはボトムアップのプロテオミクス実験に簡単に組み込むことができ、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)に適用した結果、目的のシステインを精度良く検出・定量できたと報告しています。

なお、ヨードアセトアミド(Unimodの修飾名はカルバドメチル)を適用してMascot検索を実行する場合の注意点に関しては 2017年12月号のニューズレター で取り上げましたのでご参考にしてください。

Thumbnail from featured publication

クロスリンクメソッド

Mascot Server 2.7でサポートしたクロスリンクペプチド検索機能のご紹介メディア(ビデオ PDF)はご参考になりましたでしょか。ご紹介メディアでは、K-Kリンクのみを作成するようにデザインされたDSSをシロイヌナズナに適用した質量データを使って、人工的に処理されたクロスリンカーペプチドの具体的な設定・操作方法や検索結果の見方などをご説明しましたが、天然に存在するSS結合やイソペプチド結合を持つペプチドの検出にももちろん適用することができますし、興味深い結果が得られると思います。

クロスリンクペプチドに対する検索条件はクロスリンクメソッド(使用するリンカー、リンカー結合サイト、リンカーの方向性、クロスリンク生成物などの適用情報を定義したもの)として予め作成しておきます。クロスリンクメソッドはXML書式で記述しますが、たとえばイソペプチド結合はK-Qの組み合わせに適用し、K-KあるいはQ-Qの組み合わせには適用しないというような細かい条件も設定することができます。

XML書式は難しそうに見えますが、構成は単純ですので慣れれば簡単です。もし適当な質量データをお持ちでしたら次の資料をご覧いただき、ぜひお試しください。

技術サポートが必要でしたら、実験に関する情報とRAWファイルをひとつお送りください。私どもで検証し、質量ピーク抽出と検索条件に関する情報と一緒にクロスリンクメソッドを作成してお返しいたします。

Mascot tip

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