今月のブログでは、Linuxクラスターシステムを安全に運用するための方法をご紹介します。
今月の論文は、牛乳タンパク質の糖化についての研究をご紹介します。
今月の小技は、ESTデータベースについてのご連絡です。
Mascotニューズレターのバックナンバーはこのページ(英語版、日本語版)からご覧いただけます。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。
Mascot Serverは検索を分割して実行できるように設計されており、WindowsやLinuxが動作するコンピューターから構成されるネットワーククラスター上で並列処理することが可能です。
Linuxの場合rootでMascotを起動させる前提で考えられていますが、最近のLinuxディストリビューションではrootアカウントが無効になっていることも多いため、非rootアカウントでより安全にMascotクラスターを動作させるためのいくつかの方針をご紹介します。
Mascotクラスターのセキュリティレベルを確保するためのその他のヒントについてくわしくはこちら(英語版、日本語版)をご覧ください。
Inge Gazi, Vojtech Franc, Sem Tamara, Martine P. van Gool, Thom Huppertz, Albert J.R. Heck
International Dairy Journal,129 105340 (2022)
牛乳の熱処理は安全のために必要ではあるものの、免疫原性(あるいは同種異形性)となりうる糖鎖を生成する可能性があります。著者らはこれらの糖化についてより良く理解するため、スキムミルク粉末の製造過程および保存状態から抽出したタンパク質の糖化の状況について調べました。
熱処理されたり予熱したミルクからスキムミルク粉末が作成され、貯蔵時間を変化させた各サンプルから抽出したインタクトなタンパク質について、MS、ETD MS/MS、EThcD MS/MSで分析しました。 検索用のデータベースには、牛乳に最も豊富に含まれる6種類のタンパク質と、オランダのホルスタイン-フリージアン牛の主要な牛乳タンパク質で最もよく見られる遺伝子変異並びにリン酸化状態を含む様々なプロテオフォームが含まれています。基本エントリーに対して、糖化によるプロテオフォームのパターンは1-12ヘキソース残基が付与する質量の範囲で見られました。
また4つのサンプルは、トリプシン、キモトリプシン、GluC、AspN、およびこれらの組み合わせを用いたペプチドベースのLC-MS/MSアプローチでも分析しました。 その結果、最も糖化しやすいタンパク質はαS2-カゼインとβ-ラクトグロブリンであることがわかり、貯蔵時間が長かった粉末ではαS2-カゼイン1分子あたり最大5個のラクトース残基が検出されました。
この2つのタンパク質については、最大9つの糖化部位が同定され、β-ラクトグロブリンのLys141とαS2-カゼインのLys173は、予熱乳中で全体の37%あるいは100%の割合で検出されました。 また著者は、最も多く存在する牛乳タンパク質中の主要な糖化リシン残基の前にはしばしば正電荷のアミノ酸が存在するとともに、糖化リシンのC末端側はほとんどが脂肪族および疎水性のアミノ酸であった事を明らかにしました。
Mascotニューズレターで取り上げてほしい話題や研究論文がありましたらぜひご紹介ください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。
今年初め、EBIの FTPサーバー上に存在していた比較的サイズの大きなEMBL ESTデータベースファイルの一部が数週間にわたり行方不明となりました。しかしその後復旧し、現在ではMASCOTのDatabase managerからファイルを取得可能な状態です。なお、もし非常に古いMascotサーバーをお持ちでデータベースの設定を手動で行っている場合は一部設定変更をご自身で実行して頂く必要があります。こちらに関連情報がありますのでご覧ください。
DNA配列決定方法の変化により、Expressed Sequence Tagデータベースの内容は追加エントリーがほとんどない状態になってしまいました。しかし配列決定されていないゲノムを持つ生物にとって、ESTが配列データの貴重な情報源であることに変わりはありません。詳しくは、こちらの短めなブログ記事をご覧ください。
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