今月のブログは、比較的簡単に運用できるMascot Securityの利用方法についてです。
今月の論文は、FPOPペプチド配列と修飾部位の同定という観点からMascotとPEAKSの検索結果を比較した研究です。
今月の小技は、製品版Mascotのお勧めポイントについてです。
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Mascot ServerにはMascot Securityと呼ばれるロールベースのセキュリティー機能があります。セキュリティー機能を適用すると、Mascot Serverシステムの様々な個所へのアクセスを制御することができます。例えば、サーバー全体に影響を及ぼす設定項目の変更にはパスワードの入力が必要となるように設定をすることができます。
セキュリティー機能を最も手軽に使う運用方法として、Mascotサーバーの管理者が設定変更作業を行う時のみパスワードでのログインを必要とし、それ以外の検索や結果の閲覧はパスワードなしに利用できるよう、設定する方法があります。この方法は研究結果を外部と共有しない研究室や、サーバーの検索機能へのアクセスを制限する必要のない研究室において、便利な使い方です。
適用するためには、まずadminとしてログインし、セキュリティー設定画面に移動します。そして、パスワードを必要としないユーザーアカウントである「guest」ユーザーを有効にします。さらにguestユーザーの設定を変更し、検索結果の送信、表示、データベースへのアクセス、Mascot DistillerおよびMascot Daemonを使用したサーバーへの接続ができるようにします。MASCOTのセキュリティー機能を有効にした場合、管理者のみが設定エディターでこのような変更を行うことができます。admin以外のユーザーはゲストユーザーとしてパスワードなしで “自動的に"ログイン状態になり、通常の利用の範囲でMASCOTを利用できます。ただし設定変更画面にはアクセスできません。
Microsoft Active Directoryや各種シングルサインオンシステムをつかってWebサーバー認証を使用するよう、Mascotを設定することもできます。先ほどの方法と似たような運用、即ちログインなしでの利用と最低限のセキュリティー機能の提供が可能です。ユーザーがオペレーティングシステムにログインした際、その認証情報がMascot Serverへのログインにも適用され、改めてパスワードを入力する必要はありません。
Marek Zakopcanik, Daniel Kavan, Petr Novak, and Dmitry S. Loginov
J. Proteome Res. 2024, 23, 2, 609–617
著者らは、ヘモグロビン - ハプトグロビンの高速光化学酸化(Fast Photochemical Oxidation of Protein ,FPOP )の解析を行ったtimsTOFデータセットについて、ペプチド同定並びに修飾部位の特定という観点から見たMascotとPEAKSの性能比較を行いました。
論文の中で、3価のペプチドVADALTNAVAHVDDMPNALSALSDLHAHKにおけるMet15の酸化を、多くの例の1つとして挙げています。 どちらの検索エンジンも多数のフラグメンテーションイオンを同定することができ、非常に高いスコアを割り当てることができましたが、PEAKSはMascotが割り当てた比較的強いy14とb18イオンシグナルを説明することができませんでした。さらに、Mascotは酸化局在の確実性をほぼ100%と評価しましたが、PEAKSはその確実性について、AScore 11.12で、低いランクとしか評価できませんでした。また他の例では、PEAKSのAScore値が修飾局在の確実性について信頼できるガイダンスを提供できなかったのに対し、MascotではPSMのスコアが低くても可能性の高い部位の決定を評価する能力を示しました。
論文の最後で著者は次のように述べています:”我々は、FPOPデータにMascotを使用することで、より信頼性が高く理解しやすい同定結果が得られ、手作業による検証を行う必要が少なくなると結論づけた。”
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タンパク質の同定や定量には、多くのフリーソフトウェア・ソリューションが存在します。オープンソースのものもあれば、クローズドソースであるもののフリーウェアとして配布されているものもあります。製品版Mascotのメリットは何か? その要素をいくつか挙げてみます:
あなたの研究室にMascotを導入する理由について詳しく知りたい方は、上記のすべてのポイントを詳しく説明した「Mascot for researchers」をご覧ください。
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