今月のブログは、LC-MS/MSワークフローにおけるMASCOT製品についてです。
今月の論文は、ヒストン変異体とPTMの複雑さに関する研究です。
今月の小技は、新しいハードウェアへの移行前に試すことができる、2週間の一時ライセンスについてです。
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あなたが質量分析プロテオミクスの初心者であっても、あるいはベテランであっても、定期的に基本を見直すことが役に立つでしょう。今回のブログ記事は、LC-MS/MSのMascotワークフローと、あなたの作業の最適化に役立つかもしれない情報をまとめました。
すべてのワークフローはrawデータから始まります。Rawデータを取り扱うソフトウェア「Mascot Distiller」について、私たちは様々なツールプログラムやTIPSをまとめた書類を用意しています。ピーク抽出オプションの設定、キメラDDAデータ(訳者注: 複数のペプチドが1つのMS/MSスペクトルに混合したDDAデータ)処理の実施、narrow window DIAの実験などが例として挙げられます。 また弊社のウェブサイトにはデータベース検索のさまざまな側面について焦点を当てたチュートリアルがあります。検索パラメーターの最適化、ペプチドとスペクトルのマッチングと統計的なアルゴリズムが意味するもの、Percolatorを使用したターゲットデコイ結果の再スコアリングなどが例として挙げられます。
ほとんどの実験では、目的はタンパク質を同定するだけでなく、サンプル間の相対量の定量まで行う事が望ましいでしょう。 定量数値の統計、定量解析結果のレポート作成、またはMASCOTにてサポートされている定量解析プロトコルの実際の解析方法について、チュートリアルを多数用意しています。
Michal Franek, Martina Nešpor Dadejová, Pavlína Pírek, Karolína Kryštofová, Tereza Dobisová, Zbyněk Zdráhal, Martina Dvořáčková, Gabriela Lochmanová
Molecular & Cellular Proteomics, published online: June 05, 2024
著者らは、特定のヒストンシャペロンを欠くシロイヌナズナ変異体において、様々なエピジェネティック因子がどのように相互作用しているかを調べるために、MSを用いたアプローチを行い、ヒストンのバリアント比とそのPTMを明らかにしました。 ヒストンは野生型および変異型シロイヌナズナの苗から抽出し、無水プロピオン酸で誘導体化しました。 トリプシン消化後、ペプチドをさらにプロピオン化し、LC-MS/MSで分析しました。 ペプチドはUniProtKBのArabidopsis thalianaデータベースと社内のAT-histoneデータベースを併せて検索対象としています。Uniprotデータベースに対する検索ではVariable修飾の設定として、アセチル化とプロピオニル化を、社内ヒストンデータベースではアセチル化、メチル化、ジメチル化、トリメチル化、リン酸化、プロピオニル化をそれぞれ設定しました。データベースの検索結果はPercolatorを用いて精査されました。
選択されたヒストンペプチドの同定は手作業で結果検証されました。そしてSkylineソフトウェアを用いて、EICから得られたピーク面積から定量計算を行いました。特定のヒストン配列亜変異体(例えば、H2A.Z、H2A.X、H2A.W)の相対的存在量は、これらの変異体の総面積に対するそのユニークなペプチドのプリカーサーピークの平均面積の比として計算されました。
著者らは、CAF-1シャペロンの欠損が、H3.1とH3.3変異体のメチル化プロファイルに変化をもたらすことを示しました。H3.3の取り込みの変化が、転写調節やDNA損傷応答に重要なK27とK36のメチル化状態に影響を与えます。具体的には、H3.3ではK36 モノ・ジ・トリメチル化が優勢である一方、H3.1ではそれらの存在量が少なく検出されにくいことがわかりました。 また、H3.1のK27-R40ペプチドの大部分はK27部位の(モノ)メチル化が優勢でした。 ゼオシン処理によって遺伝毒性ストレスが誘導され、選択されたヒストンのレベルが変化し、AT変異体ではH3.3のK27モノメチル化が有意に増加しました。
Mascotニューズレターで取り上げてほしい話題や研究論文がありましたらぜひご紹介ください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。
Mascot Serverを移行する必要はありますか?3~5年ほど経過しているのであれば、PCの買い替えも是非ご検討ください。電力効率、プロセッサ性能、メモリ容量、ディスク速度はすべて過去5年間で大幅に向上しています。 また、何かが壊れてから移行するのではなく、壊れる前に移行する事をお勧めします。
今年弊社も、公開サーバーmatrixscience.comで使用しているコンピューターに付いて、老朽化したBladeCenterクラスターシステムから1台のIntel Xeon Goldサーバーにアップグレードしました。 新しいサーバーは、1台のプロセッサーが古い2プロセッサーのブレードサーバー6台と同等のパフォーマンスを発揮するため、エネルギー消費量も大幅に削減されました。ストレージも機械式ハードディスクのRAIDアレイからNVMe RAIDに変更したことで、システムの応答性が向上しました。サーバークラスターシステムより、1台のボックスタイプのPCの方が、管理も簡単です。
移行の際、旧サーバーで利用したいた設定や検索結果を引き継ぐのも簡単です。簡単な資料(英語、日本語)を公開していますので是非ご覧ください。移行前に新しいハードウェアで問題なく稼働するかを試したい場合、14日間稼働する無償の一時ライセンスを発行いたします。お気軽にご相談ください。
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